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嘔吐のケア

嘔吐とは

かんたんに言うと、おなかに入った有害なものを口から出す反応のこと。

どうして吐くんだろう?考えてみましょう。

嘔吐は「いまはそれはいりません(不要だよ)」と体内の悪いものや余分なものを外に出そうとする防御反応。
赤ちゃんの頃は、胃が未熟で逆流をうまく防げないため、あふれ出てはきやすい特徴があります。
1歳を過ぎる頃から湾曲もでき始め、嘔吐の回数も減ります。

まずは声かけ!

まずは「だいじょうぶ?」の声かけから
⇨お子さんは、こみ上げてくる気持ち悪さと同時に、口から食べたものが出てくることは、とてもびっくりな状況なんです。
「だいじょうぶ?」と声をかけて、体をさすることによって、その感覚は、お子さんに温もりと安心を与えます。焦らず、そばについて様子を見守りましょう。

吐きやすいようにおてつだい

①嘔吐が散らばらないように
▶︎1mから3m飛び散る嘔吐の広がりをまず防止

②吐きやすい姿勢
▶︎敷布団には、大きめのビニル袋を敷いてその上にバスタオルを敷きます。そうすることによって、吐物での汚れを防ぎます。
枕もタオルで作り、体勢は横向きに(タオルを丸めて体を安定させる)すると楽です。
嘔吐の際には、背中を下から上にさすり、助けます。背中をさすってもらうと、安心感も得られ緊張も緩みます

③口をすすいで吐き気予防
▶︎口の中の吐物を取るため、小さくてすすげないお子さんはガーゼなどを濡らして口腔内を拭きます
嘔吐物特有の匂いは吐き気を催します。口の中や顔の周りを拭いてすっきりさせ吐き気誘発を予防しましょう。

こんな吐き方は心配

        ◯この場合は救急車

食物アレルギーで意識がない、顔色が悪い
⇨アナフィラキシーの可能性

頭部を打った後に繰り返し吐いてしまう場合
⇨脳への大きなダメージの可能性


◯早めの受診を!

発熱・下痢・痛み(頭・おなか・のどなど)
⇨感染症の可能性

規則的・特定の時に吐く
⇨不安やストレスの可能性

繰り返し吐く、元気がなくなる、顔色が悪い
⇨病状の悪化

観察チェックポイント

まずは子どもの様子をチェック

大きく下記3点を確認します
▶︎食べれる?(水分を含む)
▶︎眠れる?(嘔気はないか?)
▶︎遊べる?(表情はいつもと変わりないか?)


細かな観察点

どんなものを吐いた?
□回数
□内容
□形状
□色
□におい

子どもを見よう
□体温
□顔色、爪の色
□機嫌

ほかの症状は?
□脱水
□下痢
□腹痛
□頭痛
□耳痛


子どもの状況をメモしよう

□嘔吐した時間(連続性があるか)
□嘔吐の形状(食べたものがそのままでてしまったか?形状はないか?)
□水分は摂れているか
□眠れているか
□嘔吐後熱の推移は?
□遊べているか?(普段との違いを知るのは大事です)
□普段と比べて機嫌はどうか?

※メモをすることでお子さんの様子を冷静にみれるようになります

熱もなく、元気があって機嫌が良ければ、様子をみても良いでしょう。

落ち着いてからのケア

体に優しく

①着替える
②水分補給 (吐いた後1時間は飲食厳禁)
③ゆったりした服 (パジャマなど脱ぎ着しやすいもの)
④寝かせる (お腹を温めるのも◎)

心に優しく

吐くことは、こみ上げる感覚や息苦しさ、匂い、見える嘔吐物、周りの声、口の中の違和感、五感に訴える症状。不安と動揺でいっぱいのお子さんへ優しい言葉をかけてあげましょう。

環境から優しく

①静かに
ゆっくり休めるように、可能であればお部屋は別に。(保育園など集団生活の時)
静かな環境をつくってあげましょう。

②香り
嗅覚も敏感。周囲の匂いで嘔気づくことも多いです。食事の匂いや衣類の柔軟剤など、普段の何気ない匂いも注意してあげましょう。

③室温
体にこもった熱に反応して嘔気づくこともあります。基本は頭寒足熱。衣服や布団などで調節します。

吐いたものの片付け方

お子さんの吐く症状はよくあります。
子どもの嘔吐や下痢の80%はウイルスなどによるものと言われています。
感染が広がらないように速やかに片付けましょう。

1、準備物

・家庭用塩素系漂白剤(キッチンハイター)
・ペーパータオルやボロ、新聞紙やチラシ
・使い捨て手袋(ゴム手袋が手にフィットするので作業しやすい)
・ゴミ袋
・マスク
・バケツ

2、消毒液の作り方

・嘔吐物、下痢、汚物の場所
※家庭用塩素系漂白剤10ml(本体キャップ2杯)+水500ml

・衣服の消毒やドアなどの拭き掃除
※家庭用塩素系漂白剤5ml(本体キャップ1杯)+水1L

要参照
いずれもペットボトルで測ると簡単!
また、嘔吐し始めると、何回も作らなくてはいけなくなることも。
吐く回数の多い時は、常にペットボトルへ家庭用塩素系漂白剤を、上記2種の量を入れておき、使う際にお水を入れると、すぐに使えます。

3、片付け・消毒

(1)消毒する前に身支度!
・マスクをつけ、ゴム手袋を両手に二重に付けます。(感染防止)
(2)吐物を覆う
・消毒液につけたペーパータオルなどを吐物に覆います。
⇨まずは、吐物が空気中に飛び散らないように。(ノロウイルスは乾燥すればするほど感染力が強くなる)
(3)中央にあつめまとめて捨てる
・吐物を外側から内側に向かってまとめていき捨てます。
(4)消毒する
・消毒液を浸したペーパータオルなどで吐物のあった場所を覆い10分以上放置後、水拭きします。

※吐物や使ったマスクや手袋は、ゴミ袋に入れ2重にして捨てます。
※処理後は、手洗いうがいを忘れずに!


https://pro.kao.com/jp/medical-kaigo/improvement/kansen-taisaku/vomit/ 花王プロフェッショナルサービス内 参照

4、カーペット・畳・薄い布団など 及び汚染が一部分

スチームアイロン(85℃以上)で熱処理で消毒

5、最後に

匂いが気になる場合は、市販の消臭スプレー(除菌)をかけましょう。
※市販の消臭スプレー(除菌)=匂い菌を除けます。

おうちの看護例

1、消化にいい食事をしましょう。
 消化にいい食事は、胃にとどまっている時間が短く、消化のために体が頑張らなくてよいものです。

〈例〉
軟らかく煮た野菜スープ
うどん
おかゆ
白身魚
すりりんご など

※水分が飲み込みにくい場合は、少しとろみをつけると誤嚥防止にもなる。

2、吐いた時の水分摂取のお約束
吐いたらうがい(できない時は口腔内清拭)、飲食お休み1時間。
ひと口飲ませて5分様子見て、吐かないようならまたひと口と誘い、時間をかけて水分を飲ませてあげましょう。

3、水分補給
食事ができたり、味噌汁や野菜スープなど飲めるなら、塩分や電解質の補充がある程度できていますが、食べられない場合は、イオン水・スポーツ飲料やOS-1などをすすめましょう。どうしても飲めない時は、受診して点滴が効果的。

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